気象予報士試験の実際の難易度は?

気象予報士試験は、タレントや著名人の合格によって、合格率の低い難しい試験というイメージがありますよね。
実際に1年に2回行われている気象予報士試験の合格率は、毎回4~5%台という低い値にとどまっています。近年は受験者数も合格者数も大きな増減はなく、毎回3000人弱が受験して、150人前後が合格しています。
その合格率の低さから、気象予報士は難関資格として世間に広く知られているわけですが、この数字をもう少し深く掘り下げてみたいと思います。

目次

第55回気象予報士試験(令和2年度第2回)の データ

・申請者数:3,656人
・受験者数:2,616人(受験率:71.6%)
・合格者数:146人(合格率:5.6%)

自分が合格した第55回気象予報士試験(令和2年度第2回)は、試験を申請した人数に対して実際に受験した人数が70%程度と低く、1000人以上の方が申請はしたものの受験はしなかったことになります。
1年前(2回前)までは受験率は85%以上だったので、新型コロナウイルスの感染の可能性を考慮して受験を取りやめた方の多さが改めて浮き彫りとなりました。

しかし、実際に受験した人のうち、合格者はわずか146人で、合格率は5.6%と、例年通りかなり低い数値となりました。実際に、ここ10年(20回分)は、合格率は4.0~5.9%の範囲に収まっています。

では、そんな合格率の低い気象予報士試験の、一体どこでふるいに掛けられているかを、実際の試験の受験状況と照らし合わせて調べてみたいと思います。

学科試験の受験状況

まず、気象予報士試験の科目は「学科一般」「学科専門」「実技」の3種類。
午前中に行われる学科2科目は、原則としてどちらも70%以上…つまり15問中11問正解することが基準クリアの条件。
2科目ともこの基準に達していないと、午後の実技試験を受けても採点すらしてもらえません。

学科試験は1度基準をクリアすると、他の科目がダメだった場合でも、その次の1年間…つまり2回分は試験が免除となります。
ここが大きなポイント。そもそも約3000人の受験生の全員が、3科目すべてに全力で受験しているわけではなく、「今回は学科一般のみ合格を目指す」「今回は学科一般と学科専門の2科目の合格を狙う」といった具合に、複数回に分けて全科目合格を目指している人も多いのです。
一部試験の免除は他の資格試験でも広く採用されているのですが、気象予報士試験はこの免除狙いの受験者がひときわ多い試験だと思います。

実際に、自分が最初に受験したときは、朝一番の学科一般の試験から夕方の実技試験の終了時刻まで全部通して試験を受けたのですが、午前から午後の間と、実技2の開始30分後の退出可能時刻のタイミングで、受験生が一気にゴッソリと減ったのにはビックリしました。最後まで教室に残っていた人は、目視でも最初の1/4ほどだったように思います。
免除無しで3科目すべて受験する人の中で、最初から1発合格を狙っている人は、圧倒的に少なかったのです。
実技試験は最初から受験しない人や実技試験の雰囲気だけ体験してこようと思った人、また中には試験問題を調達するためだけに、どこかのスクールから派遣されたとおぼしき人も見受けられました。

実技試験の受験状況

実技試験は、75分の試験が2つ行われ、どちらも原則として70%以上の正解率に達することが合格の条件となります。
実技試験は内容もボリュームもハードなため、学科試験が免除されているかどうかが、実技試験の合否に大きく影響してきます。
確かに一発合格を狙うのは至難の業で、2回や3回に分けて実技試験を突破しようとする作戦は理に適っているのです。

かく言う自分も、1回目で学科2科目を合格し、どちらも免除となった2回目の試験で実技試験に合格して、気象予報士試験に合格することができました。
やはり2科目とも免除になると、準備段階から実技試験の勉強一本に絞れますし、試験当日も午後の試験のみなので疲労度も雲泥の差。合格のしやすさが格段に変わってくるのを、2回の試験を通して身を持って実感できました。
これは未確認ですが、実技のみの受験者の合格率は20%以上というデータも聞いたことがあります。ちなみに、自分と同じ学科2科目免除の受験生は、実技試験での途中退出者はほとんどいませんでした。

さらにもうひとつ、これは学科にも実技にも共通して当てはまるのですが、試験が例年より難しすぎて正解率が低かった場合は、ボーダーラインの調整が入ることがあります。
自分が2回目に受験した第55回試験でも、ボーダーラインは、学科一般が11問→10問、学科専門が11問→9問、実技が70%→63%にまで引き下げられました。
ここだけの話、実技試験のボーダーライン調整がなかったら、自分は合格していない可能性が高かったと思います…。

さいごに

合格率4~5%の気象予報士試験ですが、そもそも実技試験の最後まで受験する人が多くなく、更に学科試験は免除されている受験者もいるため、それらを考慮すると、実際の合格率はそこまで低くはないのです。
見た目の合格率や合格者数の低さに過剰に怯むことなく、こうした状況を踏まえた上で、気象予報士試験に果敢にチャレンジしてくださいね。

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プロフィール

気象予報士。ほぼ独学で第55回気象予報士試験に合格。新潟県上越市出身。川崎フロンターレのサポーターで、全国各地へのサッカー観戦やご当地グルメの食べ歩き、温泉めぐりが趣味(現在自粛中)。好きな季節は春、好きな雲は積雲。SEから気象に関する仕事への転職に向けて準備中。

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