おかえりモネ感想-第19週「島へ」9月20日(月)~9月24日(金)放送分

第19週「島へ」
9月20日(月)~9月24日(金)

目次

第91回(9月20日放送)

気仙沼の永浦家は、突風の被害を受けていた。心配で電話をかけてきた百音(清原果耶)に亜哉子(鈴木京香)は、家族の無事を伝える。その日の夕方、登米から東京に菅波(坂口健太郎)がやって来る。誕生日を迎える百音に会いに来たのだ。二人が話していると、明日美(恒松祐里)から電話が入る。「龍己(藤 竜也)のカキ棚が突風で、大きな被害を受けている」との知らせだった。それを聞いた百音は…。

https://www.nhk.or.jp/okaerimone/story/week_19.html

亀島に竜巻が発生!
永浦家の人々は避難していたようで無事だったものの、家はやはり竜巻の直撃をモロに食らってしまっていた。
窓ガラスは割れ、家の中のものも飛び散ってる…むしろ家自体がズタズタに破壊されてなくて良かった。

そして、牡蠣棚も竜巻によって流されてしまった。
おじいちゃんは、カキ棚が流されてしまったことで、今でこそ気丈に振る舞っているけれど、張り詰めていたものが切れてしまったときが怖い。心配だ…。

今回の竜巻もまた、震災時と同様に、家や牡蠣が破壊されるような直接的な映像はなし。
朝ドラはハリウッド映画と違って、描きたいのはあくまでも災害の前後での、
人々の生活の様子と心象風景の変化。
だからこれで良い。朝から無駄に心がかき乱されずに済んで良かった。


台風や竜巻の対応でずっと休めず、ようやく汐見湯に帰ってコインランドリーで洗濯している間に眠ってしまうモネ。
そこに菅波先生がやってきた!登米から上京してきたのか!
疲れているモネを、起こさずに見守っている菅波先生が優しい…。

モネは目を覚まし、菅波先生の姿を目にして、
自分がプロポーズされるのではないかと即座に悟る。
そして予想通り、菅波先生はいつも通り自分の気持ちを、理路整然と語り始める。

しかし、今日の菅波先生は、ここからが違っていた。

もう少しで一番大事な言葉を言うタイミングになって、突然立ち上がり、
まるで壊れてしまったかのように、ああでもない、こうでもないと悩み始めてしまう。
そこでようやく、「理屈だけじゃない、感情なんだ!」と気付き、
溢れ出す自分の感情を、シンプルな言葉でモネに伝える。

「一緒にいたい」

ついに、ついに肝心なことを言えた!!
菅波先生、よくがんばった!


菅波先生は、もしモネがいなかったら、自分の感情が大事ということにも気付かなかったかもしれない。
でもモネと出会って一緒の時間を過ごすことで、理屈だけじゃなく感情も大事なんだと気付くことができた。

もうひとつ、菅波先生が今までとは違うと思ったのは、
コインランドリーの洗濯の終わりを告げるブザーが鳴っても、我に返らなかったこと。
自分も「まーた今回も寸止めのパターンか」と思ったもの。
でもその予定調和を崩したのは、菅波先生の感情がほとばしったから!
菅波先生の変化と成長が分かる、良いプロポーズだったな…!

プロポーズは受けたものの、モネは気仙沼に戻りたいし、菅波先生は東京に戻りたい。
それぞれのやりたい仕事と逢いたい気持ちが交じり合って、すれ違いそうになっている状況が切ない。
まだまだハッピーエンドとは、いかなさそうだ…。

それにしても、モネは台風のときに生まれて、実家が竜巻のときにプロポーズされる…、
人生の転機と嵐のような天気が見事なまでにリンクしていて、思わず苦笑してしまった。


朝岡さんの言う通り、竜巻はいくら予報技術が進歩しても、予測が難しい気象現象です。
気象現象は、規模が小さければ小さいほど挙動に色々な要素が絡むため予測が難しく、
規模が数千kmに及ぶ低気圧や前線の動きは、大分精度良く予測できるようになったものの、
規模が数m~数十mの竜巻については、発生を予測することすら未だ困難な現象。
たとえコンピュータの性能が今後飛躍的に上がったとしても、予想は難しいままでしょう。

なので、気象庁のナウキャストでも、降水や雷とは違って、
竜巻の場合は「竜巻ナウキャスト」ではなく「竜巻発生確度ナウキャスト」と、
発生する確率が高そうな場所を示すことしかできないのです。

日本では竜巻が発生する確率はかなり低いですし、自分も生で見たことはありませんが、
竜巻の発生確率が高いと判明した場合は、すぐに頑丈な建物の中に避難する等、
安全第一で行動してくださいね。

第92回(9月21日放送)

家族に電話がつながらず、焦る百音。すると、菅波が「自分で見て、出来ることをすればいい」と伝える。百音は、気仙沼に向かうことを決意、朝岡(西島秀俊)に事情を話し、実家を目指す。同じころ、気仙沼では亮(永瀬 廉)や三生(前田航基)など大勢の人が永浦家の片づけを手伝っていた。作業には活気があり、まるでお祭りのように楽しそう。駆けつけた百音は、その様子を見て…。

https://www.nhk.or.jp/okaerimone/story/week_19.html

モネは実家の被害をすーちゃん経由で聞くも、実家と連絡が取れずにパニックになってしまう。
そんなモネを見て、菅波先生は、
「どうして自分で行かないの?」
「震災のときに味わった無力感を再び繰り返しても良いの?」
と問いかける。

その口調の優しさは、やはりこれまでの菅波先生とは全然違う!
問いかけの内容も、ずっとモネのことを見ていて、
過去も全部ひっくるめて受け止めている菅波先生だからこそ言える言葉だ…。


モネは朝岡さんに、実家の様子を自分の目で確かめに行くことを伝える。
朝岡さんは、今回だけでなく今後のモネの身の振り方を案じ、
「目の前の人を相手に仕事をするのは、キツいことでもある」
「大事な人が、辛い目に遭うところを目の当たりにすることもある」
と、モネの「覚悟」を確かめる。
モネは亀島に行くことで、その覚悟が決まるのだとは思うけど、果たしてどんな形で…。

一方、汐見湯では、調子の悪いボイラーを治すために業者が来訪。
そのボイラー技士は、菅波先生が初めて担当した、あの元ホルン奏者の患者の宮田さんだった。
罪悪感に苛まれる菅波先生に対して、宮田さんは正直に、
「菅波先生を恨んだこともあったけど、今の仕事が好きなんだ」
と気持ちを伝える。

「今私は生きている、それが大事なんだ」

この言葉で、菅波先生は救われるだろうか。
救われて欲しい…。


亀島では、島のみんなが永浦家に勢揃い。
被災した家や牡蠣棚を復旧したり、大量の牡蠣がダメになる前に人海戦術で出荷の準備を整えたりと、
みんなしっかり前を向いて行動し始めていた。

モネの幼なじみながらここまで影の薄かった悠人も、すっかり公務員になって、
災害復旧支援の行政側の窓口としてしっかり働いてた。
随分頼もしくなったじゃないか…!
ただどうしても、三生やりょーちんのキャラが濃いだけに、
悠人にももう少し人となりが分かるようなエピソードが欲しかったな…。

りょーちんとみーちゃんは、3年の時を経てしっかり仲が深まってた。
普通に話し合える仲にはなっているけど、りょーちんの気持ちはまだ伺えない。
りょーちんはこの先、恋心をみーちゃんに向けてくれるだろうか…。


永浦家での作業は、深夜にまで及ぶ。
そこにモネが、交通手段を駆使し、島に掛かった橋を渡って、その日のうちに実家に戻ってきた。
モネは、生き生きとした顔で牡蠣の出荷作業に打ち込んでいる島の人たちの姿を見て、涙を流し始める。

またしても、自分は必要とされていなかったから?
それとも、みんな無事だと分かってホッとしたから?

…その涙には、様々な意味が込められているように感じられた。

第93回(9月22日放送)

帰ってきた百音に気づいた未知(蒔田彩珠)。みなに笑顔で迎え入れられ、百音はようやく作業の輪に混じる。翌日、百音は海の様子を見に行き、カキ棚の被害を目の当たりにする。心配する百音をよそに、龍己は「しぶといんだ」と笑う。そんな龍己の姿、そして、明るく笑い合う家族や友人の顔を見た百音は、ある決意を固め、未知にそれを伝えるが…。

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菅波先生とモネはそれぞれ、過去の傷と対峙する。
それはあたかも、2人が結婚するために、個人で乗り越えなくてはならない最後の試練のよう。
2人とも「何もできなかった」という無力感を、パートナーの手助けなく、克服できるだろうか…。

永浦家では、作業が終わってみんなで酒盛り!
その流れで、なぜか三生が、ここで髪を切ると言い出す。
三生は確かに酔ってはいるけれど、決して酔っ払った勢いでは言っていない。
住職の仕事を継ぐことを決意した三生に、耕治も呼応し、
急遽永浦家で断髪式を行うことが決定。
早速畳にブルーシートを敷き、みんなが三生の頭に、バリカンを当てて髪を剃り始める。
…でも、なんで永浦家にバリカンがあるんだろうか…?

ともあれ三生は、朝岡さんがモネに語っていた、
「目の前の人を相手に仕事をする覚悟」
を決めた。剃髪した三生の姿は、その覚悟の現れでもある。

翌日、モネは海辺に出かけ、牡蠣棚の被害の大きさを目の当たりにする。
心配するモネに、おじいちゃんは「弱っているよ」と正直な気持ちを吐露するも、
それでも大したことはないと気丈に振る舞う。
震災で被災してもなお生きているから言える言葉、なんだろうな…。

覚悟を決めた三生と、加齢で弱さを見せるおじいちゃん、
2人の姿は、きっとモネの気持ちも動かしたはず。


モネは、島に戻って生活することを決意する。
そしてまず最初に、みーちゃんに島に戻っても良いかと尋ねた。

「津波、見てなかったんでしょ?」
このみーちゃんの言葉は、東京に旅立つときにも触れていて、その際はお互いにサラッと流すことはできた。
しかし、島に戻ると決めた今、改めてこの言葉と向き合って、
姉も妹も、過去の傷を乗り越えなくてはならない。

一方、みーちゃんにとっては、りょーちんと姉との関係が気になるはず。
数年かけてせっかく仲が深まってきただけに、尚更のこと。
モネは、菅波先生とのプロポーズにも結論を出して、妹を安心させられるだろうか…。

そう言えば、三生も悠人も、頼もしくなっていた一方で、りょーちんの成長については、ここまであまり描かれていなかった。
明日、みーちゃんの話の流れで出てくるんだろうか…。
美波さんの死亡届の件も、結局あれからどうなったんだっけ。
あれから3年の月日が流れているので、顛末も明らかにされるだろうか。

第94回(9月23日放送)

百音は、未知に気仙沼に戻りたい気持ちを伝える。百音が汐見湯に戻ると、菅波が待っていた。菅波は百音に、元ホルン奏者で、かつて自分が診察していた宮田(石井正則)を紹介する。宮田は、現在ボイラー整備士として働いており、汐見湯に仕事で来ていたところに、偶然菅波と再会したのだ。菅波は宮田に相談し、百音にあるサプライズを用意していた。

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島に戻っても良いかと尋ねたモネに対して、
みーちゃんは、予想以上にすんなりと、戻っても良いと答えた。
ひと悶着あるかなと思っていただけに、意外だった…。

やはり予想通り、妹との対峙は、
「震災のときに負った心の傷」との対峙の場でも、あったんだな…。
ただそれと同時に、妹もまた、自分が姉に言い放った一言によって、
自分自身の心の奥底にも深い傷跡を残していた。

だからこそ、モネが気仙沼に戻る前に、姉だけでなく妹も、
改めて震災時以降のわだかまりを解消して、乗り越えなくてはならない。
あと少し…!

一方で、ここではりょーちんの話題には触れられなかった。
みーちゃんとりょーちんの仲は、実際のところどうなっているのかが
まだ分からないだけに、なんとももどかしい…。


汐見湯に戻ったモネは、菅波先生と再会。
そこで菅波先生はモネに、かつての担当患者でホルン奏者だった、
ボイラー技士の宮田さんを紹介する。

宮田さんは、病気が治ってから5年間ホルンを吹いていなかったけれど、
音楽好きな息子が父親の部屋の隅に置かれていたホルンを見つけ、
息子からまた吹いて欲しいとせがまれたことで、再びホルンを練習し始めていた。
そのホルンの演奏を、菅波先生とモネに聞いて欲しいと言う。

もちろん息は続かないだろうし、5年のブランクは大きいはず。
それでも、また吹けるようになっただけでも凄い。
果たしてモネに、どんな音色を聞かせてくれるんだろうか…?

ちなみに、自分も中学校の吹奏楽部でホルンを吹いていたけれど、
ホルンは金管楽器の中でも音を出すのが難しい楽器で、
更に高音を安定して出すことは至難の業。
数十年のブランクがある自分は、もう音を出すこともままならないだろうな…。
宮田さんの努力は語られていないけれど、きっと想像を絶するものだったはず。

第95回(9月24日放送)

宮田は、菅波に頼まれホルンの演奏を披露する。優しいホルンの音色は、百音の背中を押してくれた。数日後、高村(高岡早紀)に、Jテレの仕事について、百音はある決意を話す。そして、会社の新規事業審査会で、地域密着型の気象予報士を活用する企画を発表、自分の思いのたけをみなに話す。それを聞いた安西(井上 順)は…。

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宮田さんのホルンの音色は、とてもブランクがあって
大病の後遺症が残っている人とは思えないような、柔らかくで美しい音色だった。
ただいくら元プロ奏者とは言え、上手過ぎるだろう!

そんな宮田さんのホルンの音色が、亀島中吹奏楽部の演奏とシンクロしていく…。
もう自分を責めなくても良いし、また音楽を好きになっても良い。
宮田さんによる魂を癒やすかのような演奏には、
モネへのそんなメッセージが込められているように感じられた。


モネが気仙沼で感じた思いは、決して無力感だけではなかった。
苦しい状況でも、今できることを生き生きとやっている故郷の人たちに力を貰って、
この人たちのためになりたいと、改めて心の底から思えたんだろう。

モネは、震災時に島にいなかったことを責め続けていて、
ずっと傷を抱え続けながら生きていた。
でも妹とのトラウマもお互いに話し合うことで薄れ、
消え失せていた音楽の楽しみも宮田さんの演奏を聴いて蘇り、
ようやく過去の傷を乗り越えて、いよいよ島に戻ることを決意した。
「 #おかえりモネ 」のタイトルの意味が、ようやく見えてきた…!

みんな何かしらの傷を抱えながら生きている。
現在進行形で大変な思いをしている人もいる。
それでもなお今を生き続けている人たちの姿を、
このドラマは優しく誠実に描いている。
だからこそ見ている側も心を動かされるし、
「もう少しだけ頑張ってみようかな」と思えてくる。
そこがたまらなく好きだ。


モネが、ウェザーエキスパーツ社の社員のまま気仙沼に帰りたいと言った理由は、
ドラマを見ただけだと分かりにくいので、ここで補足すると、
気象予報士が天気予報を「業務として」行うには、
気象庁から予報業務が認可された事業所に所属し、
さらに事業所は予報業務を行う気象予報士を気象庁に届け出て、
申請が完了している必要があるからなのです。

もしモネがウェザーエキスパーツ社を退社してフリーランスとなった場合、
TVの天気キャスターのように気象庁や民間気象会社の予報をそのまま伝えることは可能ですが、
気象予報士として独自に予想を行い、その予想を媒体を介して広報し、
ビジネスとしてお金を稼ぐことは、気象業務法によって禁じられています。

自分も今は事業所には所属していないので、
気象予報士と言えども「予報業務」はできず、
基本的には気象庁が発表した情報を元に、天気についてつぶやいています。

気象庁からの情報だけでも結構色々なことが分かるんですが、
特にモネがこれから実施しようとしている「局地気象予報」に関しては、
より細かくて精度の高い情報が必要となります。
そういった意味で、ウェザーエキスパーツ社が独自に開発したツールや
取得したデータが使えるのも、モネにとっては大きな利点ですね。

だからモネは、ウェザーエキスパーツ社に所属したまま、
気仙沼で局地気象の予報業務に従事しようとしているのです。

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プロフィール

気象予報士。ほぼ独学で第55回気象予報士試験に合格。新潟県上越市出身。川崎フロンターレのサポーターで、全国各地へのサッカー観戦やご当地グルメの食べ歩き、温泉めぐりが趣味(現在自粛中)。好きな季節は春、好きな雲は積雲。SEから気象に関する仕事への転職に向けて準備中。

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