気象予報士試験 合格までの軌跡(4/4)…2回目の受験、第55回試験

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2020年11月下旬:ようやく実技試験の勉強を再開

8月の54回試験が終わってからは、解き放たれたように一切勉強せず、そのまま結果発表後の11月までやる気にはなりませんでした。一番大きな理由は、気象予報士の資格を取ってから、自分が活躍する姿が想像できなかったから。それでも、せっかく学科2科目があと2回免除になったのだから、もったいないし再受験するかと思い直しました。この時点で55回試験まで2ヶ月ちょっと。今回もまた短期決戦になります。

実技対策として新たに買ったのは、「読んでスッキリ!解いてスッキリ!気象予報士実技試験 合格テキスト&問題集」(長い!以下「スッキリ」と記載)。こちらの本は、実技分野で必要となる知識や気象現象別に重要なポイントがまとめられていて、まずはリハビリがてらこれらを熟読。

12月中旬に入ると、「スッキリ」の過去問にも挑戦。夏に買った「らくらく」の実技問題はオリジナルの問題だったのですが、こちらの問題は実際の試験の過去問。「スッキリ」の方がより実践的で難易度も高いと感じました。どちらか1冊買うのなら、自分は「スッキリ」ですね。

2020年1月上旬:進歩の無さに苦悩

実はこの「スッキリ」に掲載されている12問の過去問のうち、2問は夏に解いた「精選問題集」の2020年度版にも掲載されている問題。さすがに数ヶ月前よりは解けているだろう…と思いきや、答案は前回とさほど進歩が見られず、同じところで間違っている部分も判明。すでに年は明けて2021年。このあたりで、明確に危機感を抱き始めました。

このままではヤバい。しかし過去問を2周する時間も余裕もない。結局、一度解いて正解した問題は2度目も正解する確率が高いのだから、誤答のみを徹底的に見直すという考え方に行き着きました。まず間違えた問題の答えを赤ペンで書き、そこに間違った理由や正答に至る考え方を青ペンで書き加えながら、内容を掘り下げて理解していきます。

独学だとどうしても論述問題の採点が甘くなりがちになるのですが、「答案を書いている自分」と「答案を採点している自分」を別人として切り替えて、あたかも自分で自分にツッコミを入れながら答案を見直すことで、自分の誤答に客観的に向き合えるようになり、そこから自分の解答の精度も少しずつ良くなっていった気がします。

2021年1月中旬:模擬試験で突きつけられた知識不足

そしてまた試験2週間前に、Team Sabotenの模擬試験を受講。やはり今回も分量が多くて難易度も高め。試験後の解説を聞いていてつくづく実感させられたのが、気象現象に関する知識不足でした。そこで模試から1週間は全く過去問を解かず、「スッキリ」のテキスト部分を読み直すことに。復習のつもりが、新たに知った事項も結構多くて愕然。やはり1度読むだけでは頭に入りにくいことを再認識させられました。

もうひとつ、前回の受験時にも見たTeam Sabotenの「拝啓、予報官X様」シリーズの動画を、今回は2週間で133回分すべて視聴して133回分の短期予報解説資料に触れるという、エクストリームな力技を敢行。これまで触れてきた事例数の少なさを一気に補うとともに、各回ごとに要点を整理して気象現象ごとにまとめることで、バラバラだった知識の整理ができました。

ただ、全部見終わったのは試験当日の午前1時でしたが…。動画自体はどれもオススメなので、ここまでの無茶はせず、興味のあるものから少しずつ観てください。無料で公開されているのが信じられないくらいの内容ですので。

2021年1月下旬:試験1週間前、残る課題

試験1週間前に、Team SabotenのWebセミナー「はじめての天気図解析」をリモートで受講。天気図解析、特に前線解析は独学では一番学びにくい部分。それだけに、実際に解析を行う過程を映像で見ることができて、解析の手法や考え方を学べたのはものすごくためになった…のですが、あと1週間で自分も正しく解析できるようになれるかはまた別。前線解析の難しさもまた、改めて実感させられました。

残り1週間を切って、気象支援センターのサイトから過去問のPDFをダウンロードして、再び過去問を解き始めました。ここから試験までの期間で合計9回分実施。制限時間内にすべて解答し、正答率が7割に達することも多くなってきたものの、ここに来て、緯度・経度の読み取り精度が低いことと、読み取るまでの時間がかかりすぎることという課題に改めて直面。自分が思っていた以上に細かい精度を解答では要求されること、そして測定した位置や長さのわずかな違いでも解答が大きく変わってしまうことに、今更ながら気づかされました。

結局、試験直前にコンパスと定規を買い直すも、本番の試験では位置問題や速度計算問題は後回しにして、その分他の問題で挽回することを決意。前回もそこで時間を食ってしまって他の問題が解けなくなったので…。

こうして直前までバタバタしつつ、試験本番の日を迎えることになりました。

2021年1月31日:2回目、第55回試験当日

今回は実技試験のみで午後からなので、昼食は持たずに10時頃に食事してから、試験開始の数十分前に会場となるお台場のタイム24ビルに到着。やっぱり学科2科目が免除されていると、時間的にも体力的にも負荷が全然違います。前回と同様にビルの入口でアルコール消毒と検温を実施。ここでも午後からなので行列はまったく無くスムーズに通過。これもまた学科免除の大きなメリットでした。

試験前にもう一度現在天気の図や台風の定義といった暗記ものの内容を最終確認して、いざ実技試験へ。ところが、最初の実技1が難しかった!前線解析に大苦戦し、終盤には今まで見たことのない表も登場。それでも諦めずに必死で解答をひねり出し、終了1分前になんとか全問解答完了。

休憩時間中は会場内を軽く散歩して、身体と心をリラックスさせることに専念し、次に引きずらないように心がけて過ごしました。

実技2はほぼ典型的な問題で、途中までは良いペースで解けて余裕ができた…と思っていたら、後半に論述問題が怒涛の如く出題され、一気に窮地に立たされることに。迫りくる終了時刻へのプレッシャーと疲労で震え出す指先に悩まされながらも、終了数十秒前にこちらも全問解答。自分はもともと筆圧が高いんですが、それがこの150分間の試験の最後に指先の震えという形で現れるとは…。それでも、やるべきことはやりました。

試験数日後に、解答を解説した動画を見ると、実技1の序盤でいくつも間違っていることが判明。その時点で今回もダメだったと思い、一気にテンションが下がってしまって、途中で自己採点を放棄。それから試験発表までは一切試験勉強は行わず、のんびり過ごしてました。

2021年3月12日:第55回試験結果発表

自分は今回も落ちたものだと思っていて、発表当日も「不合格の通知を見て現実を見つめ直そう」と思ってました。

ですが、いざ意を決してハガキを開けてみると、目に飛び込んで来たのは「合格証明書」の文字。一瞬意味が分からず、改めて良く見直してみると、本当に合格と書いてある!あまりの驚きにしばし呆然、その後でようやく、じわじわと嬉しさがこみ上げてきました。やった、合格したんだ…!!

念のため、気象業務支援センターのサイトでも受験番号を確認。やっぱり番号が載ってました。嘘じゃなかった!…そしてボーダーラインが、いつもの70%から今回は63%に引き下げられていたことも判明。やはり実技1は相当難化していたようで、調整が入った模様。自分も確実に、この調整による恩恵を得ていると思います。

ともあれ、これで自分も気象予報士になれることが決まりました。発表から数日が経ち、まだこれからの進路は決めていないのですが、この資格を何らかの形で活かして、社会に貢献したいと考えています。

1回目の試験勉強の様子はこちらから。

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プロフィール

気象予報士。ほぼ独学で第55回気象予報士試験に合格。新潟県上越市出身。川崎フロンターレのサポーターで、全国各地へのサッカー観戦やご当地グルメの食べ歩き、温泉めぐりが趣味(現在自粛中)。好きな季節は春、好きな雲は積雲。SEから気象に関する仕事への転職に向けて準備中。

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